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 縁 :「すー……すー……」
 雛 :「くかー……くー……」
夏掛けを取って戻ってくると、雛だけじゃなく、縁も眠ってしまっていた。
しかも2人とも下着姿だ。
慌てて2人から目を逸らす。
裕次郎:「そ、そんな格好で寝てると風邪ひくぞ?」
そう言ってみても、返事はない。
すっかり寝入ってしまっているらしい。
裕次郎:「眠いから早くって、ホントに眠かったのか」
縁はまだ、しっかりしてるように見えたのにな。
さすが双子、寝付きの良さはいっしょらしい。
裕次郎:「しかし、双子ってのは、みんなこんな仲がいいもんかな」
双子とはいえ二卵性、男と女だってのに、裸同然の格好で、手をつないで寝てるなんて。
俺はチラッと、仲よく眠る双子の姿に目をやった。
縁と雛は、同じ布団に並んで、手をつないで眠っている。
縁のヤツは、やっぱり女物の下着を身につけていた。
こうして眺めてると、仲良し姉妹に見える。
裕次郎:「しっかし、こんな格好になっても、縁はホントに女に見えるな」
少なくとも、どこからどう見ても、男には見えない。
体のラインとか、男と女じゃぜんぜん違うものだと思うが、女の雛と並べても区別がつかなかった。
裕次郎:「コイツ、ホントに男なんだろうか?」
思わず、そんな疑念が俺の中に生まれた。
自分では男だと言ってるが、そういえば、俺はその証拠を見たことがない。
縁は、便所だっていつも個室で済ませているし、いっしょに風呂に入ったこともない。
だから俺は、縁の全裸を見たことがなかった。
当然、触ったこともないし。
裕次郎:「本当に男なのか……?」
男だと言ってはいるが、まさか本当は女だったりして……
裕次郎:「………………」
俺はそっと縁に近づいて、間近でその体を覗き込んだ。
じっくり観察して見ても、どこからどう見ても、ますます男には見えない。
裕次郎:「怪しい……」
やっぱりコイツ、本当は女なんじゃないのか?
だいたい、家の方針だかなんだか知らないが、こんな年になって、平然と女の格好をしている男なんているだろうか?
なにか理由があって、隠してるとか?
裕次郎:「………………」
しかしいくら観察してみても、男か女か、決定的な証拠は見つからない。
裕次郎:「あとはココだけか……」
俺は、縁の股間の辺りに目を凝らす。
膝を曲げて体を丸めるようにしてるせいで、その部分がどうなってるのかよくわからない。
男だったら、それなりの膨らみがあるはずだが……
裕次郎:「触ってみるか?」
幸いグッスリ眠ってるみたいだし、ちょっとくらい触っても起きないんじゃないか?
雛は、ここまでは込んで来るまで、1度も起きずに寝てたし。
縁も雛と同じで、1度寝たらよほどのことがない限り起きないのかもしれない。

早まるな、俺。
いくらなんでも寝ている相手にそんなことできない。
そもそも、確認する必要なんてないじゃないか。
本人が言ってるんだ。

裕次郎:「やめやめっ」
バカらしくなって、俺は持ってきた夏掛けをかけて、2人の体を隠した。
裕次郎:「コイツが男でも女でも、俺には関係ないって」
 縁 :「ホントに?」
裕次郎:「ああ」
裕次郎:「……ひっ!?」
驚いて見ると、縁はニヤニヤ笑って俺を見上げていた。
裕次郎:「お、おまえ、起きてたのかっ……!?」
 縁 :「ずっとね」
布団の下から手が伸びてきて、するりと俺の首筋に巻き付いた。
縁が、俺の耳元に口を寄せる。
 縁 :「裕次郎くんって奥手だよね。さっさと触っちゃえばよかったのに」
裕次郎:「なななっ、なん、なん……」
 縁 :「なんなら、今触ってみる?」
妖しい笑みを浮かべて、縁が俺の手を握った。
裕次郎:「え……遠慮しとくっ!!」
縁の手を振り払い、俺は必死で部屋を飛び出した。

飛び出す寸前に見た縁の顔は、笑っていた。
裕次郎:「まただ……またアイツにからかわれたんだ、俺は……」
俺に襲われそうになったとか、またテキトーなことを言いふらされるかも……
恐ろしい……
裕次郎:「さっさと寝よう」
グッスリ眠って、イヤなことはみんな忘れてしまおう。
途中で思いとどまったことだけが、不幸中の幸いだったな。

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