[???] | なんだよ、つれないなぁ……もうすぐこんな風に、いつでも尋ねて来れなくなるんだよ? 颯馬、寂しくないの? |
[明智光秀] | (先客がいる……この声は、羽柴殿?) |
[天城颯馬] | 寂しくない |
[羽柴秀吉] | またまたぁ、本当は寂しいクセに。あたしにはちゃーんとわかってるんだよ? あたしは……ん、ちゅ……あたしは……寂しいよ? |
[天城颯馬] | 秀吉…… |
[羽柴秀吉] | 久しぶりに可愛がってよ……今日はなんだか、女の子として可愛がって欲しい気分なんだ……はむ、ちゅっ…… |
[天城颯馬] | こら……ん、ちゅ……わかった。わかったからそうがっつくな……あむ、ちゅぅ…… |
[明智光秀] | (まったく……なにをしているのやら。仕方ありません……また後日、出直すとしましょう) |
[???] | 光秀……部屋にいたのではなかったのか? |
[明智光秀] | あ、信長様。いえ、ちょっと颯馬に話があったのですが……羽柴殿が来ていたので、引き返してきました |
[織田信長] | なんと。私も青二才を訪ねようかと思っていたのだが……そうか、サルが先に来ていたか。して、どんな様子だった? |
[明智光秀] | え、その……睦まじく、していました |
[織田信長] | ふっ、そうか。それでは無粋はせぬがよいな。部屋に戻って寝るとするか……そなたも来るか? |
[織田信長] | 可愛がってやってもよいぞ? |
[明智光秀] | お、お戯れを…… |
[織田信長] | ふふっ……まぁ、そういう身持ちの固いところもそなたのよいところだ。無理強いするつもりはない |
[織田信長] | そんなことより、ゆっくり身体を休めるがよい。これから忙しくなる……落ち着いたら、いよいよ一揆衆の総本山と決戦せねばならぬ |
[明智光秀] | 一揆衆……また、僧も女子供も容赦なく、命を奪うことになるのですか? |
[織田信長] | そうだ。そうしなければあ奴らは止まらぬ。致し方あるまい |
[明智光秀] | ………… |
[織田信長] | 光秀……そなたは優しいな。だが、余りそのような顔を兵達に見せるでないぞ。そなたの心の痛みが兵に伝わる |
[織田信長] | さすれば皆の気持ちが弱くなろう。気持ちで負ければ、仏に縋っておかしくなっている者共に、槍で突かれて死ぬことになる |
[織田信長] | そのようにして兵を損なう者に、一国一城の主は務まらぬぞ? もっと気を強く持つのだ |
[明智光秀] | 信長様……どうしても、一揆衆との戦いは避けられませんか? |
[織田信長] | 光秀…… |
[織田信長] | 光秀……私のせいにしてよい |
[明智光秀] | 信長様…… |
[織田信長] | そなたに非道をさせるのはこの信長だ。恨んでもよい……だが、逆らうことは許さん。もう決めたことなのだ |
[織田信長] | そなたの言いたいことはわかるつもりだ……だが、我が命じるままに戦うのだ。よいな? |
[明智光秀] | 女子供相手でも、容赦なく…… |
[織田信長] | そうだ |
[明智光秀] | 僧を斬り……仏の像を打ち壊し、寺を焼けと…… |
[織田信長] | そうだ。必ずそうなる。覚悟しておくことだ |
[明智光秀] | 羽柴殿や私の出世も……そのために必要なことなのですね…… |
[明智光秀] | わかり……ました。覚悟を、決めます |
[織田信長] | それでよい |
[織田信長] | いや、そなたらの出世も決まってめでたい夜だというのに、つまらぬことを聞かせてしまった、許せ。部屋に戻ってゆっくり休むのだぞ |
[明智光秀] | はい……おやすみなさいませ、信長様 |